DX担当役員が探している「右腕」の正体、AI導入が進むほど需要が高まる“前提を扱う力”
要約 DX担当役員が本当に必要としているのは、「AIに詳しい人材」そのものではなく、事業・業務・技術・組織を横断して 意思決定の前工程(Input)と、運用・実装の設計(Process)を一体で扱える“右腕”というケイパビリティです。生成AIやRAGの導入が進むほど、従来、暗黙のうちに中間管理職や現場リーダーが担ってきた「翻訳」と「構造化」の役割が浮き彫りになり、その空白がDX担当役員に集中します。本稿では、レイヤーを「組織」に限定し、右腕不在がどのように生じるのかを問題設定し、Input/Process/Outputやバリューチェーンの観点から右腕の本質を構造的に整理したうえで、実務としての採用・育成・役割設計にどのような示唆があるのかを論じます。 はじめに:DX担当役員の負荷はなぜ軽くならないのか 私は日々、DX担当役員、IT・デジタル部門の責任者、事業部長、そしてAI推進を担うリーダーの方々とお話をさせていただいています。そうした対話の中で繰り返し聞かれるのが、次のような声です。 「AI人材も採用した、PoCも進んでいる。それなのに、自分の仕事量はむしろ増えている気がす